雑記265. 2017. 8. 7
“ みんな同じような形をしてます♪ ”
 マテバシイと同様に、スダジイやツブラジイの中には、春だけでなく秋にも開花する個体が少なからずあります。兵庫県神戸市の掖谷公園にも、不定期ながら、春だけでなく秋にも花を咲かせるツブラジイがあります(図8-265-1参照)。
 先日、その個体で昨年11月に開花した果軸に、堅果を包含しない殻斗だけの幼果を見つけました(図8-265-2、図8-265-3参照)。

 この幼果は、殻斗の元になる器官に咲いた雌花が退化消滅して殻斗だけが成長したものです。普通のツブラジイではなかなか見つかりませんが、この個体では11月に開花した果軸に少なくとも1個/本は存在しました。

 
 図8-265-4にある殻斗だけが成長したアラカシやシラカシ、コナラ、ツブラジイの幼果を見ると、いずれも姿形がよく似ていおり、ドングリに関する基本的な事象はみな同じであることが窺えます。
 因みに、この図にある4種類の幼果は、いずれも多果を発現しやすい個体で見つけました。今ではあまり目にすることがない殻斗だけが成長した幼果ですが、太古の昔には、おそらく多果と同じぐらいごくありふれた存在だったのではないでしょうか。