雑記264. 2017. 8. 3
“ コナラでも見つけました! ”
殻斗の元になる器官は、ブナ科の樹木に共通のアイテムです。これまで、アラカシやシラカシのようなアカガシ亜属の樹種でその存在を明らかにしてきましたが、今回あらたにコナラ亜属でも確認できました。
一般に、国産のコナラ亜属の樹種は果軸が非常に短いものが多く、おまけに新枝に立つ果軸の数も少ないので、アカガシ亜属に比べて花が咲かなかった殻斗の元になる器官を見つけ出すのはなかなか厄介です。ただ、コナラやナラガシワに見られる春から秋にかけて断続的に開花する個体であれば、10〜20個の幼果を着けた50mm前後もある果軸が新枝にたくさん立つので、わりと簡単に見つけることができました。
図8-264-2は、そういうコナラで撮影した開花しなかった殻斗の元になる器官です。シラカシやアラカシの殻斗の元になる器官は、どちらかというと小籠包や宝珠のように少し丸みのあるふっくらとした形をしていましたが、こちらはハーシーズのキスチョコのような形をしています。茶色い先端部分が尖ったところなんか、銀紙の先を捩じって封をしたキスチョコにそっくりです♪
一方、図8-264-3は、殻斗の元になる器官に咲いた雌花が退化消滅して、殻斗だけが成長した幼果です。先端の茶色く尖った部分が開いて、中から殻斗の一部が現れた様子がはっきりと判ります。
他にも、アラカシやシラカシで見たような、雌花が退化消滅して殻斗だけが成長した幼果も数多く見られました(図8-264-4参照)。これらは、以前雑記205で紹介した、普通のコナラでしばしば目にする冬芽のような形をした殻斗の塊と姿形がそっくりでした。
今後、他の樹種でも殻斗の元になる器官が見つかる可能性が高いので、別途セクションを設けて紹介していきたいと思っています。
(追記)
コナラの殻斗の元になる器官を見てあらためて認識したのですが、アカガシ亜属の殻斗の元になる器官で先端部分が完全に閉じたのは開花しなかったものであり、多少なりとも開いたのは全て雌花が開花(退化消滅した場合も含む)したものと考えて間違いなさそうです。
ということで、関連記事(雑記257、260、261、262)の中で紹介してきたものについては、今後、図8-264-5のような殻斗の元になる器官の先端部分の口が完全に閉じたものだけを、開花しなかった殻斗の元になる器官と見做します。