雑記262. 2017. 7.25
“ 花が咲くと口が開く ”
 シラカシを例に挙げると、殻斗の元になる器官は図8-262-1の右側にある小籠包か宝珠のような形をしています。ここに雌花が咲くと、日を追う毎に殻斗らしい姿に変化していきますが、雌花が咲かなかったものは時間が経過してもそのままです。

 アラカシの殻斗の元になる器官もシラカシと同じような姿形で、今月初旬、高塚山緑地 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] の個体で数えきれないぐらいたくさんの殻斗の元になる器官を見つけました(*)(図8-262-2参照)。
* 雑記260を参照願います。


 ただ、パッと見はシラカシとそっくりでしたが、それらの中には宝珠の口に相当する部分が開いて、殻斗の環状構造が露出しているものがありました(図8-262-3〜4参照)。ただ、これらは半月ぐらい経っても、形や大きさはほとんど変化していませんでした。それらの様子から、おそらくこれらの殻斗の元になる器官には雌花が咲いたのだと思われます。ただ、何らかの原因でその雌花が退化消滅
(**)したせいで、その後の成長が著しく鈍化してしまったのではないかと推測します。

 
 殻斗の元になる器官は、そこに咲く雌花の数や形態、そして各々の雌花の配置に関する情報を元に、それらを包含するのに最適な殻斗を設計します(**)。そして、設計段階で仮に一部の雌花が退化消滅したとしても、その雌花がどのような形で存在したのか記憶しており、雌花のサイズや消滅のタイミングに応じて殻斗を再設計する能力を具備していると私は確信しています。

** セクション3-1-4を参照願います。

(追記)
 雑記264の末尾で述べた通り、今後は殻斗の元になる器官の先端部分の口が完全に閉じたものだけを、開花しなかった殻斗の元になる器官と見做します。そんなわけで、図8-262-1の先端部分の口が微妙に開いているものについては、開花した殻斗の元になる器官に修正します。