雑記026. 2010.10. 2
“ なかなか得がたいアベマキの2果のドングリ ”
 昨年のちょうど今頃、アベマキの2果のドングリに関する記事を掲載しました(*)。2果のドングリと言っても、同じ個体から2年連続で殻斗を採集しただけで、そこに包含されていた堅果の姿は確認出来ていません。

 “ 今年こそは2果のドングリの堅果と殻斗をセットで採集してみせるぞ!” と意気込んで、ほぼ連日のようにこの個体をマークし続けてきましたが、残念ながら今年もこれまでと同様に、2果の殻斗だけを残して、堅果は何処へともなく消え去ってしまいました(図8-26-1参照)。この殻斗に包含されていたのが独立した2個の堅果
(**)であった可能性を想定して、落ちていた辺りをくまなく探してみたのですが、結局該当するものは見つかりませんでした。
    *  雑記001を参照願います
  **  多果ドングリの形態については、セクション3-1-1を参照願います

 ただ、これまではどれも落下してからだいぶ時間が経過してから採集した殻斗ばかりで、鱗片がほとんど折れていたり、殻斗の内壁に亀裂が入っており、殻斗本来の立体的な形状(お椀型)が損なわれていたのですが、この殻斗は樹上にあった時のままの状態でかなりの美品でした。

 この個体では、変形ドングリ
(***)や1個の堅果の中に種子が2個入った多種子のドングリ(****)が毎年の様にたくさん落下します。参考までに、私がこれまでにこの個体で確認してきた数量を以下にまとめます。

 ・ 2007年 : 変形ドングリ 34個 、 2種子ドングリ 15個 (2果ドングリ 0個)
 ・ 2008年 : 変形ドングリ 67個 、 2種子ドングリ 12個 (2果ドングリ 1個)
 ・ 2009年 : 変形ドングリ 22個 、 2種子ドングリ  7個 (2果ドングリ 1個)
 ・ 2010年 : 変形ドングリ 31個 、 2種子ドングリ 17個 (2果ドングリ 1個)
 ***  変形ドングリについては、セクション3-2を参照願います。
**** 1個の堅果の中に2個の種子を包含したドングリについては、セクション6-3を参照願います。

 京阪神の他のアベマキで、これほどたくさんの変形ドングリや多果ドングリを結実する個体は他に例がありません。初めてアベマキの2果の殻斗を採集してから早3年が経ちましたが、来年こそは殻斗と堅果がセットになった “ 完全な形の2果のドングリ ” をゲットしたいものです。