雑記255. 2017. 6.20
“ 無事に結実してほしいものです ”
 コナラ亜属の樹木は、アカガシ亜属のように多果の花を咲かせても、それらが結実することは極めて稀です(*)。とりわけ、国産のドングリの樹で最も繁栄しているコナラやクヌギは、その傾向が強いように思われます。

 但し、コナラの場合はクヌギと違って、4月に1度開花してから12月頃まで断続的に開花する個体があり、それらの中には普通のコナラよりも多果の発現率が高いものがあります。服部緑地 [ 所在地 : 大阪府豊中市 ] の個体もその一つで、発現した多果の1つが殻斗幅が10mmもある幼果に成長したことがありました
(**)
 
 兵庫県神戸市にある高塚山緑地にも同じように開花を繰り返す個体があって、毎年のように多果を発現しますが、今年は例年になく大量の多果(幼果)が見られました。
  * 国産のブナ科の樹木の中で、ミズナラは例外的に多果のドングリを結実しやすい傾向があります。
** 雑記186を参照願います。

 高塚山緑地のこの個体は、断続的に開花を繰り返すコナラの中でも一風変わっており、茎に大量の花を咲かせたり、花軸の先に葉がついてそこから新たな茎を伸ばすなど、花軸と茎の機能分化が明確でない部分が随所に見られます(図8-255-1参照)(***)

 4月下旬に開花した時点では、単果と多果の区別がつきにくかったのですが、開花からおよそ1.5ヶ月が経過した6月中旬に観察すると、2果の幼果が全部で23個もありました。図8-255-2はその一例ですが、殻斗が2個の堅果をまとめて包含するタイプ(堅果統合型殻斗)と分けて包含するタイプ(堅果分離型殻斗)がほぼ等しい割合で見られました。
*** 雑記217を参照願います。

 
 今年は例年よりも多果が多かったので、もしかすると1個ぐらいは結実してくれるかもしれません。いつも期待し過ぎると落果してしまうので、今回はあまり期待せずに実りの季節が来るのを待ちたいと思います。