雑記243. 2016.11.21
“ タネ - いのちの旅 ”
  ヒノキ新薬株式会社が発行しているEPTA(エプタ)という文化情報誌があります。この冊子は年に5回発行されており、毎号ひとつのテーマを立てて特集が組まれています。今年の11月末に刊行されるVol.79のテーマは 「タネの未来 」で、タネのもつ生命力や、人とタネとの関わりの歴史を中心に構成されています。

 実は、このテーマに関連して、身近なタネの代表とも言えるドングリの魅力について誌面を作成するにあたって、8月末にエプタの編集室から取材の依頼がありました。事前に送って頂いた同誌のバックナンバーを拝見すると、どれも洒落たデザインの表紙で、中身もなかなか読み応えがありました。取材なんてはじめてのことなので、少し照れくさい気持ちもありましたが、一般の方々に主観ドングリ論を展開する絶好の機会なので、快諾することにしました。

 連絡があってから半月が経過した9月の中頃、編集室の磯部さんとライターの石川さんのお二方に仕事帰りにお会いして取材を受けました。さらに、記事を執筆される石川さんのご意向もあり、お会いした翌日にドングリ探索を体験していただくことになりました。

 石川さんは兵庫県にお住まいなので、なるべく交通機関による移動を必要としない近場がいいだろうと考え、私がお気に入りの掖谷公園 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] をご案内することにしました。
 同園はセクション12の “ マイ・ドングリフィールド ” でも紹介していますが、シラカシのドングリの形態の多様性が素晴らしいだけでなく、県内随一の大きなクヌギのドングリを結実する個体が多いことや、ウラジロガシ、コナラ、アラカシについても魅力的なドングリを結実する個体が数多く見られることから、マイ・ドングリフィールドの中でも私の一押しの探索スポットです。
 9月中旬ということもあり、同園の大半のドングリは未だ熟しておらず、コナラとクヌギの一部の個体のドングリを除くと、小さくて緑色をしたものがほとんどでした。それでも、これまで樹上に生っているドングリのことなど気にも留めておられなかった石川さんにとって、樹上を埋め尽くすたくさんの幼果の群れや、まだ小さくて殻斗の中からちょこっとだけ堅果が頭を出した可愛らしいてドングリの姿など、見るもの全てがとても新鮮だったみたいで、あっという間に2時間の探索が終了しました。
 カルチャースクールで子供相手のドングリ探索しか経験がなかった私にとって、一般の方が興味をもてるようなガイダンスができるかどうか不安だったのですが、石川さんにはとても喜んでいただけたみたいでホッとしました。

 素敵な記事に仕上げてくださった磯部さんと石川さん、そしてエプタの編集室の方々に、この場をかりてあらためて御礼申し上げます。