雑記024. 2010. 9.24
“ マテバシイを食べてみよう! 〜 1日先生体験記 〜 ”
 今年の7月に、兵庫県三田市の富士小学校から、“ 9月末に予定している2年生のカルチャースクールでドングリの先生をして下さい ” との依頼がありました。同校は、現在6年生になる私の娘(次女)が通学していて、何かの折に “ お父さんがドングリ好きで、こんなHPまで作っている ”という ことを学校で話題にしたのがきっかけで、このような機会を設けて頂きました。

 依頼された授業内容はドングリの食育がメインです。実際に子供達といっしょに小学校に隣接する車池公園でドングリの樹を見て回って、拾ったドングリを食べてみるのですが、私自身ドングリを食べた経験が少ないので、食べるという事に関して予め調査しなければならなくなりました。

 限られた授業時間内でドングリを加工している余裕はありませんので、先生方と事前に打ち合わせた結果、拾ったドングリをそのまま生で食べてみることになりました。渋味が少なくて、生でも食べられるドングリは、クリ、ブナ、シイ、マテバシイの4種類ですが、この中でこのタイミングに車池公園に落ちているドングリと言えば、マテバシイしかありません。

 9月に入ると同時に、通勤前や休日を利用して、いろんな所でマテバシイのドングリを拾ってその場で生のまま齧ってみるのですが、シャリシャリした食感で青臭さがある不味いものから、美味しくは無いけれどなんとか我慢して食べられるものまで、個体によって食味の差がものすごく激しいことが判りました。

 ドングリなど口にしたことも無い子供達が生のまま食べて、そのあまりの不味さに驚いて、それまでドングリが好きだった子供まで嫌いにさせてしまったのでは話になりませんので、色々考えた末、当日生で食べるのは断念しました。
 その代わりに、事前に私が採集してきたものを食べ比べて、そこそこ食べれそうなものを当日の朝に茹でで持参することにしました。因みに、マテバシイは茹でると柔らかくなって穂のかに甘みがして、生の状態よりは断然食べやすくなるのです。

 そんな訳で、当日の朝早くから、採集してきたドングリを1時間ぐらい鍋で茹でて、採集場所毎に食べ比べてみました。試食してみると、私としては3箇所から拾ってきたものが、そこそこ食べられそうな味だと思ったのですが、自分の味覚だけでは心許無いので、早朝から台所でドングリを茹でている私のそばをうろついていたグルメ猫の “ ルーカス君 ”にも味見してもらうことにしました。
 ルーカス君は猫だからドングリはどうかなと思ったのですが、たくさんある種類の中から私が選んだ3種類のドングリの内の1個をおもむろに舐め始め、瞬く間にペロリと平らげたのです。枝豆やトウモロコシは平素から喜んで食べていたのですが、まさかドングリまで食べるなんて本当に驚かされました。

 ただ、後でよく考えてみると、ルーカス君にとってそのドングリの味が特別良かったというよりは、茹で上がったばかりの湯気の立つドングリに興味があって、たまたま目の前にあったドングリを1つ平らげたに過ぎなかっただけかもしれません。
 最終的に、ルーカス君と意見が一致したドングリが一番おいしいと確信した私は、その種類と同じものを子供達の人数分(約60人)の倍程度茹でて持参することにしました。

 一方、当日子供達にレクチャーするドングリの説明資料については、8月の連休中から先週に至るまでの休日を利用して少しずつ作成したのですが、なにぶん小学校2年生の子供達を相手にするということもあって、以下の点に留意しました(図8-24-3に一部作成例を掲載)。

 1. 説明資料は紙芝居風(文字は大きく、A3版程度に拡大)のものを準備すること
 2. キャラクターやドングリが好きな鳥や動物の写真を多用して、ビジュアルに仕上げること
 3. 文字は少なく、専門用語や難しい言葉は一切使用しないこと
 4. 全編を通じて、子供達との対話形式(Q&A形式)にすること
 5. 説明は前後半に分けて、それぞれ10分以内にすること
 6. 様々な種類のドングリに直に触れてもらうため、実物を学校に展示すること 

 以上、そんなこんなで苦労した甲斐もあり、子供達には大層喜んでもらえました。試行錯誤の上、厳選して茹でたマテバシイのドングリについては賛否両論で、美味しいと言っておかわりしていた子も居れば、不味いと言って吐き出していた子もいましたが、まあこんなもんでしょう。マテバシイのドングリがそんなに美味しければ、スーパーで売ってますって♪

 僅か2時間程度のおつき合いでしたが、終始子供達のパワーに圧倒され続け、慣れない緊張感もあってか終わった時にはぐったりしてしまいました。ただ、最近に無い心地よい疲労感で、私としては100%満足できました。それにしても、ほとんど連日のように小さな子供達の相手をしておられる先生方は、さぞかしご苦労されていることでしょう。頭が下がる思いです。

 この度は、本当に貴重な体験をさせて頂きましてありがとうございました。この場をかりて、先生方にあらためてお礼を申し上げます。またの機会がありましたら、ぜひお声を掛けて下さい。お待ちしています。 

* 今回の授業に当たり、図8-24-1の他にもいくつかドングリマップを作成しました。その中から、三田市富士が丘地区のドングリマップを掲載致します。上のMAPボタンをクリックすると、ドングリマップが表示されます。近隣にお住まいで、ドングリに興味のある方はぜひ御覧になって下さい。