雑記022. 2010. 9. 4
“ 雑誌 【 ポット 】 に写真を提供しました ”
 6月のある日、チャイルド本社の【 ポット 】 という保育雑誌の編集を担当されている方から一通のメールを頂きました。同誌の10月号で、ドングリの食育をテーマにした記事を掲載するのに、マテバシイとスダジイのドングリの断面写真を探しておられるとの事。但し、食育がテーマなので、干乾びて不味そうなものではなく、落下して間もない新鮮なものという厳しい条件付きです。

 そもそも、編集担当の方がわざわざ私にアクセスしてこられたのは、ドングリ関連の資料やHPを調べた結果、私のHP以外で所望の断面写真が見当たら無かったからだそうです。確かに、このHPには落下して間もないスダジイのドングリの断面写真を掲載していますので、恐らくこれを御覧になられたのだと思います。

 スダジイのドングリの断面写真については、ご要望通り、既にHPに掲載しているもの(セクション8:雑記8の図8-8-2参照)をお渡しすればよいのですが、マテバシイについては、これまでにいくつか撮影したことがあるものの、新鮮で、かつきれいな断面写真を撮影出来たという記憶がありません。
 と言うのも、マテバシイのドングリは果皮がものすごく硬いので、刃物でドングリをきれいに切断することが出来ないからなんです。仮に切断出来ても、不定形に割れたり、果皮の一部が欠損したりして満足のいく切り口が得られないのです。

 刃物で切断しないで、ドングリの一端から徐々に鑢(サンドペーパー)で研削していくという手もあるのですが、中身の種子が柔らかい場合、研削痕が種子の断面に現れるので、本来の切り口とは少し違った雰囲気になってしまいます。だからと言って、十分に乾燥させてから研磨処理をしても、種子が極端に収縮してしまい、果皮と種子の間に大きな空間が出来てしまいますから、新鮮なものとは程遠い状態になってしまいます。

 今はシーズンオフなので、新鮮なドングリを入手することは出来ませんし、あれこれ悩みながら既存のデータファイルを隈なく探していると、1枚だけそれなりに撮影出来ている写真が見つかりました(図8-22-3参照)。
 このドングリは、2008年の9月20日に採集したもので、11月30日に鑢で断面研磨した後に撮影したものなので、落下後約2ヶ月は経過しています。ですが、適度に種子が乾燥していたせいか、種子の断面に鑢による研削痕がほとんど見られず、種子と果皮の間の空間も狭いので、パッと見た目は新鮮なドングリのものとほとんど遜色無いような感じがします。
 とりあえず、この写真でもいいかどうか編集担当の方に見て頂いたところ、問題ありませんとの回答を得て、思わずガッツポーズしてしまいました。

 8月の末頃に、雑誌の見本を送って下さるということで楽しみにしていたところ、今月1日に自宅に届きました。保育雑誌を見るのは初めてですが、絵や工作がとてもかわいらしいので、見ているだけで楽しめる内容でした。今回、このような素敵な雑誌の編集に多少なりとも協力出来たことについて、私自身とても嬉しく感じております。
* 保育士さん向けの雑誌なので、大きな書店でないと店頭にはないかもしれません

(付録)

 雑誌に提供したマテバシイの断面写真は、私としては不本意なものだったので、あらためて今年採集したものを切断研磨して写真を撮り直しました(図8-22-4参照)。これなら、文句無しだと思います。今後、何かの折に必要な方はこの写真をお使い下さい。