雑記210. 2016. 5.20
“ まるでカシワのような... ”
港湾緑地公園 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] には50体前後のナラガシワが植栽されています。それらの中には、堅果の長さが40mmを超える巨大などんぐりを結実する個体も多く、どんぐり好きには堪らない畿内有数の採集スポットの一つです。
ところが、先日半年ぶりに行ってみたら、駐車場広場の拡張工事によって、園内のポートライナー南公園駅側にあったナラガシワが全て撤去されていました。一部の木は、駐車場周辺の街路樹として移植されていましたが、それらはほとんどの枝が伐採されていたので、当分の間ドングリが実ることはないと思われます。どんぐりを愛する人たちの憩いの場として、同園が変わらぬ姿で永続することを切に願っています。
さて、一昨年ここを訪れた時に、カシワでは珍しい実りの光景を目の当たりにしました(*)。普通、カシワの果軸には1本につき1〜2個のドングリが結実し、それが新枝に1〜2本立つので、せいぜい4個のドングリが枝先で一塊になっている姿しか見たことがありませんでした。
ところが、同園の個体でなんと9個ものドングリが枝先で群れを成しているのを目撃したのです。おそらく、果軸の数か、あるいは1本当りの結実数が普通よりも多かったことで、このような姿が現出したと思われますが、実際にどういう構造になっているのか詳しく知りたくて、今回この個体の開花直後の新枝の様子を観察してきました。
* 雑記193を参照願います。
カメラに望遠レンズを装着して新枝の様子を観察したところ、1本の果軸に平均すると3〜4個の幼果が見られました。中には5個、乃至6個の幼果を着けた果軸もありました(図8-210-2参照)。
そして圧巻は、枝先にある3本の果軸に着いた合計16個もの幼果でした(図8-210-3参照)。写真では11個の幼果しか写ってませんが、葉や果軸の背面にあるものを加えると、確かに16個(果軸別にみると、1本当たり5個、5個、6個)ありました。これらの幼果の半数が不稔に終わったとしても、枝先には相当数のドングリの群れが形成されることでしょう。道理でここのカシワは実りがいいわけです。
カシワの観察が終わってから、ナラガシワの結実状況を見て回っていたら、再び驚きの光景を目撃しました。たくさんあるナラカシワの中に、ひと際大きな葉っぱをつけた個体を見つけたのです。巨大な葉っぱと言っても比較対象物がないと、写真に撮っても実感が湧きませんので、私の手といっしょに撮影しました(図8-210-4参照)。典型的なナラガシワの葉身が20cmぐらいなので、これはかなりの大物です。
私の手と比較するだけでは物足りなくて、採取した葉をメジャーの横に並べて、あらためて撮影しました(図8-210-5参照)。最大のものは葉身が40cmもありました。これは、国産のナラの仲間で最も大きな葉っぱをつけるカシワでも、最大級のものに匹敵するサイズです☆☆
以前、このHPでウバメガシの巨大な葉っぱを紹介したことがあります(**)。実は、ドングリ探索に行く先々で巨大な葉っぱを目撃しているのですが、ドングリ関連の記事が中心なので、それらについてはこれまであまり掲載してきませんでしたが、なかなか迫力があって面白いかもしれません。コレクションが充実してきたら、別途セクションを設けて紹介したいと思ってます。
** 雑記161を参照願います。