雑記200. 2015.10.31
“ 味わい深いコナラのドングリ ”
 コナラはドングリの生り年と不作年の差が激しい樹種ですが、大阪府吹田市にある万博公園では、多くの個体が毎年安定して大量のドングリを結実します。

 同園のコナラのドングリは、量だけではなく形態の多様性の面においても京阪神では指折りの採集スポットです。9月〜11月にかけて、園内全域のコナラから月変わりでいろんな形のドングリが落下します。参考までに、10月中旬から下旬にかけて落下したコナラのドングリの例を図8-200-1に示します。

 このように、同じコナラのドングリでも形や色や質感は様々ですが、ちょうど今時分に結実する私のお気に入りのドングリがあります(図8-200-2参照)。

 なぜこのドングリに魅かれるかと言うと、それには三つの理由があります。一つ目は、果皮の放つ光沢です。成熟して落下したコナラのドングリは、布等で果皮の表面を軽く擦ると艶は出ますが、このドングリはそのままでも十分に艶があります。ですから、この個体に隣接するコナラから落下したドングリと地上で混ざり合っても、この個体のドングリだけははっきり区別できます。

 そして二つ目は、果皮の質感です。コナラのドングリと言えば、果皮の肌理が細かく滑らかなのが普通ですが、このドングリはへそから花柱にかけて果皮にたくさんの隆起した筋が走っており、触ると表面がゴツゴツしています。果皮の厚みも普通のコナラのものよりやや厚めで、とてもがっしりとした感じがします。
 そして三つ目として、果皮が退色するまでの色の変化です。コナラのドングリは、落下して時間が経つとすぐに果皮の退色が始まります。ところが、このドングリは落下してもすぐには退色しないで、薄い茶色から黒に近い焦茶色に変色し、その後は徐々にへその辺りから退色しますが、退色前のシリブカガシのドングリを想わせる黒光りした色艶は、他のコナラのドングリではなかなか見ることが出来ないでしょう。

 この時期に万博公園に出掛ける機会があれば、ぜひこのコナラのドングリを手に取ってご覧下さい。