雑記196. 2015.10.10
“ ナラガシワでも見つけました ☆ ”
 昨日、港湾緑地南公園 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] に行ったら、今年もナラガシワのドングリがたくさん落下していました。とりわけ、園内に植栽された40体余りのナラガシワの中で、昨年ほとんどドングリを落とさなかった個体から、目を見張るような巨大なドングリが落ちているのを見つけました(図8-196-1参照)。堅果の長さ、もしくは太さだけなら、これよりも大きなドングリを結実する個体が園内にありますが、両者を兼ね備えたものになると、これがチャンピオンクラスではないかと思います。

 京阪神の公園や緑地ではナラガシワの植栽数が少なく、私がドングリを採集できるのは100体ぐらいしかありません。そんな状況ですから、数少ないナラガシワの中から、私の好きな多果ドングリに出逢えることは、まずないだろうと思っていました。実際、多果ドングリに興味をもってから10年近く探索してきましたが、ナラガシワの多果は雌花や幼果を含めて一度も目にしたことがありませんでした。
 ところが、昨日ここを訪れた時、2体のナラガシワから各々1個ずつ、計2個の多果ドングリを同時にゲットしてしまったんです〜☆

 一つは、図8-196-2の2果のドングリです。2個の堅果が合着した、かなり大きなドングリです。見つけた時には、よくぞここまで立派に成長したものだと感心させられました。ただ残念なことに、完熟前の状態で落下したせいで、殻斗を外すと堅果のへその辺りがやや腐敗していました。

 そしてもう一つは、図8-196-3の2果のドングリです。片方の堅果が極端に小さくて、大きな堅果のへその一端にもう一つの矮小な堅果が貼りついていますが、紛れもなく2果のドングリです。この小さな堅果が無ければ、変形ドングリ “ 変形くん ”
(*) にそっくりなことは、敢えて言うまでもないでしょう。
* 変形ドングリ “ 変形くん ” については、セクション3-2を参照願います。

  コナラ属における多果の発現は、シラカシのような特定の樹種ではそれほど珍しいものではありませんが、それ以外の樹種では発現率がとても低く、仮に発現したとしても結実することは極めて稀です。

 これまでの経験から言うと、同じコナラ亜属でもコナラやクヌギでは多果の発現率が極めて低いのですが、それに比べてミズナラはやや高いように思われます。京阪神では調査対象となるナラガシワの個体数が少ないので、他の樹種と比べて発現率がどの程度のものなのかはっきりしたことはわかりませんが、ナラガシワよりも個体数が圧倒的に少ない割に頻繁に多果(ドングリに残る痕跡含む)を目撃するミズナラよりは、発現率がやや低めではないかと私は推測しています。