雑記191. 2015. 9.10
“ 完全形ではありませんが... ”
 今年は7月下旬から、かつて経験したことがない猛暑日が続きました。そのせいか、コナラやアベマキのような9月〜10月にかけて結実する樹種では、例年よりも10日から2週間ぐらい早くドングリを落とす個体が京阪神の各地で散見されました。

 私の通勤経路にある摂津伊丹廃寺跡 [ 所在地 : 兵庫県伊丹市 ] のアベマキの中にも、例年9月初頃からドングリを落とし始める個体が、今年は先月の18日頃に落下が始まり、3日前に確認した時には既に落下が終了していました(図8-191-1参照)。

 この個体は、アベマキの中でもかなり大きくて立派なドングリを結実しますが、それ以外にもアベマキではなかなか得難い多果ドングリを結実しやすいという、私の好みの形質も兼ね備えた優れもの(?)なんです☆。

 ここ10年ぐらいで、この個体から2果の殻斗を3個もゲットしており、昨年の秋には、念願の2果の堅果も採集出来ました
(*)。但し、その堅果は、よ〜く見れば確かに2果ですが、2個の堅果がほぼ完全に一体化しているので、パッと見は単果にしか見えない中途半端なものでした。
* 雑記169を参照願います。
 その後も、見た目ではっきり多果と判るドングリを求めて探索を続けてきた結果、遂に殻斗と堅果がセットになった2果のドングリを採集することに成功しました(図8-191-2参照)。

 今回ゲットしたドングリは、誰が見てもはっきりと2果と判るドングリでしたが、残念なことに果皮の大部分が破裂しており、私が求めている美しいドングリにはほど遠い状態でした。一方の堅果のへそに、成長過程で消滅した第3の雌花の痕跡が認められることから、おそらくこれが原因で堅果に歪みが生じて、果皮が部分的に破裂したのだと思います。

 明瞭でかつ美しい完全形のアベマキの多果ドングリを求めて、来年以降も探索を続けていきます。