雑記182. 2014.11.19
“ 不稔のドングリ ”
 雑記180で紹介した高塚公園 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] から東へ徒歩で10分ぐらいのところに高塚山緑地があります。ここは上空から俯瞰すると、緑地全体がアルファベットのPの様な形をしています(図8-182-1参照)。

 Pの文字の縦棒に当たるエリアには、散策道に沿ってクヌギ、コナラ、アラカシ、シラカシ、ウバメガシ、マテバシイ、スダジイ、ツブラジイが数多く植栽されていて、それらの中にはとても興味深いドングリを結実する個体がいくつもあります。

 同園における今年のコナラのドングリの生りは昨年に引き続きとても良好で、先日訪れた時も地面にたくさん落下していました。個体毎に樹下に落ちたドングリを採集していると、シイナ(不稔のドングリ)ばかりを大量に落としている個体を見つけました(図8-182-3参照)。殻(果皮)を割って中身を確認するとほぼ空洞で、へその内側にほとんど成長せずに枯死した小さな種子が貼りついていました。

 ブナ属やマテバシイ属、シイ属のドングリでシイナの存在は珍しくありませんが、成熟体と同程度の大きさまで成長したコナラ属のドングリでこれを目にしたことはほとんどありません。

 このシイナはとっても軽くて、手の平に1個だけ載せてもほとんど重さが感じられません。そこで、具体的にどの程度の重量なのか調べてみました。電子上皿天秤のような高精度な重量計測器が手元に無かったので、普通の秤を使ってほぼ同じ大きさのシイナを100個まとめて測定し、1個当たりの平均重量を算出しました。結果、100個の総重量が32gだったので、1個当たり約0.3gであることが判りました。

 コナラのドングリが100個もあるのに、その重量は落下したばかりの標準的なクヌギのドングリのたった3個分にしかならないのですから、あまりの軽さにビックリしました。