雑記167. 2014. 9. 5
“ 関西にもありました ”
少し前まで、国内に分布するモンゴリナラ [ 学名 : Quercus mongolica ] と考えられていたブナ科の植物が、最近になって実はモンゴリナラとは異なる種類であることが明らかになり、新たに “ フモトミズナラ ” と命名されました。
フモトミズナラは、コナラやミズナラとの形態上の類似点が幾つか挙げられていますが、現在のところコナラの亜種 [ 学名 : Quercus serrata subsp. mongolicoides ] として分類されています。しかしながら、この分類については命名時から賛否両論があり、ミズナラの変種 [ 学名 : Quercus crispula var. mongolicoides ] という見解もあります。
フモトミズナラは、主に北関東や東海地方に分布しており、関西では見ることができないものだと思っていたのですが、昨年の10月に兵庫県宝塚市にお住まいのYさんから、自宅の近くにフモトミズナラが植栽されていることをメールで教えて頂きました。Yさんが見たところ、複数体ある内の3体で9月の上旬〜中旬にかけてドングリが落下するとの事でしたので、今年に入ってからこの時期が来るのを楽しみにしてきました。
現地で確認してみると、フモトミズナラと思われる個体は幼木も含めて複数体あり、いずれも葉はミズナラに、そして樹皮はコナラとよく似ていました(図8-167-2参照)。そして、ドングリが落下していた3つの個体から採集したドングリには、以下のような特徴が見られました(図8-167-3参照)。
1. 殻斗は深く、裾よりも柄に近い方がやや膨らんだ形状である。
2. 殻斗の鱗片の隆起が大きいもの(2/3体)と小さいもの(1/3体)がある。
3. 堅果の首回りがやや陥没している。
4. 堅果は焦げ茶色で、花柱の周辺に微毛がある。
5. 果皮にややザラつきがある。
パッと見にはミズナラのドングリと良く似ていますが、殻斗については鱗片の隆起が普通のミズナラのものよりも大きい点が異なります。但し、鱗片の隆起には個体差があって、図8-167-4のように普通のミズナラのものと大して変わらないものもあることが判りました。一方、堅果に見られる首回りの陥没やザラザラした果皮といった細部の特徴については、ミズナラやコナラに共通して見られる形態であることも判りました。
今後、より多くの個体を対象にした遺伝子解析によって、フモトミズナラの所在が明らかになることを期待しております。