雑記166. 2014. 8.21
“ 異様な殻斗をもつシラカシの幼果 ”
 先日、服部緑地 [ 所在地 : 大阪府豊中市 ] を散策していたら、奇妙な形をしたシラカシの幼果を見つけました(図8-166-1参照)。同種でこの時期のものとしてはかなり大きな幼果で、花柱を覆い尽くさんばかりに成長した異様な殻斗に目が釘付けになりました。

 この幼果を幾つか採集して高さ方向の切断面を観察してみると、殻斗の裾の部分が内側に向かって捩じれており、堅果との間に隙間が出来ていることが分かりました(図8-166-2参照)。おそらく、堅果と殻斗の成長速度のバランスがくずれて、殻斗の成長速度が堅果よりも先行したことによって、堅果を包むことができなくなった殻斗の裾の一部が、堅果との間に出来た隙間に巻き込まれたのだと思います。


 この幼果の断面を見てふと気づいたのですが、これまで度々このHPで紹介してきた鱗片が内側に回り込んだ殻斗
(*)というのは、もしかするとこのような形態の幼果が成長したものかもしれません。思わぬ幼果の発見によって、鱗片が殻斗の内側に回り込むメカニズムが明らかになる日が遠からず訪れそうな予感がしてきました。この個体で数ヶ月後に成熟した殻斗の形態を確認するのが今から楽しみでなりません。
* 雑記109、雑記146等を参照願います。