雑記161. 2014. 7. 4
“ 生垣樹の葉 ”
 私は、春から夏にかけてドングリの花や幼果を観察していますが、ここ数年はツリーウォッチングにも精を出しています。そんな中で、たまに生垣樹に目を向けてみると、それらの葉には普通の孤立した樹木(以下、孤立樹)ではあまり見られない特異な形態が存在することに気づきます。

 生垣樹は頻繁に剪定されているせいか、孤立樹に比べて異常に大きな葉をつけるものをよく見かけます。シラカシやアラカシの生垣樹を例に挙げると、しばしば20cm以上もある大きな葉に出くわします。

 先日、大阪府立大学 [ 所在地 : 大阪府堺市 ] の構内を散策していたら、ウバメガシの生垣樹の中に同種のものとは思えない巨大な葉を見つけました。葉身が10cm弱で比較的細長いものであれば、これまでにも幾度か目にしたことがあります(図8-161-1参照)が、葉身が12cmで幅が6cm以上もある巨大なもの見たのはこれが初めてでした(図8-161-2参照)。

 大きな葉をつける以外にも、生垣樹では葉縁の形態に特異なものが見られます。図8-161-3に孤立樹と生垣樹のウバメガシの葉を示します。孤立樹では弱い鋸歯をもつ葉が普通ですが、生垣樹では強い鋸歯をもつものがよく見られます。

 このように、ドングリの樹を構成する各々のパーツにも、ドングリと同じように個体毎に多様な形態が存在するのです。今後は、樹皮や樹形も含めた樹木全体に着目して、特筆すべき点があればこのHPで取り上げていきます。