雑記154. 2013.12.25
“ たびするタネ展 ”
 先日、孫を連れて有馬富士公園 [ 所在地 : 兵庫県三田市 ] (図8-154-1参照)の福島大池にやって来る渡り鳥に餌をやりに行ってきました。ここは県下でも指折りの大規模な公園 [ 敷地面積〜416ha ] で、クヌギ、アベマキ、カシワ、コナラ、アラカシ、シラカシ、ウラジロガシ、クリ等たくさんのドングリの樹が植栽されています。

 特筆すべきドングリは何もありませんが、有馬富士 [ 標高 : 374m ] を背景にした園内の素晴らしい景観に加えて、子供心をくすぐる “ あそびの王国 ” や有馬富士自然学習センターといった施設が充実しており、三田市に移り住んでかれこれ15年以上経った今でも、私達家族を魅了し続けています。

 渡り鳥の餌やりを満喫してから、久しぶりに自然学習センターに立ち寄ってみると、センター内の特設展示場でいろんな種類のタネを集めた “ たびするタネ展 ” が開催されていました(図8-154-2参照)。ドングリのコーナーもあって、なかなか魅力的な展示がなされていました。

 展示品の中には、東南アジアで見られる堅果全体が分厚い殻斗で覆われたマテバシイ属のドングリもありました。直径が70mmぐらいある巨大なもので、マテバシイ属のドングリの中でもこれは最大級です(図8-154-3参照)。これまでにもドングリ関連の展示会で、この巨大ドングリに類似したものを幾度か目にする機会がありましたが、どれも腐敗が進行していたり、動物に齧られた痕があったりして、展示品としては相応しくない代物ばかりでした。

 ところが、今回目にしたものは中々の美品で、おまけに切断面のサンプルまで横に添えてあったのでとても良かったです。興味のある方は、ぜひ現地で御覧になってみて下さい。


 余談になりますが、今回の展示品の中で私が一番注目したのは、ドングリではなくてツノゴマ [ 学名 : Proboscidea louisianica ](図8-154-4参照)の実でした。

 3年ぐらい前に、通勤途中の畑の網に引っかかっていた奇妙な物体を勝手に採ってきて、それ以来、勤務先の事務所の机の前に飾っている(図8-154-5参照)のですが、しばしば同僚達から “ これ何の実なの? ” と訊かれるたびに返答に窮してきました。そんなわけで、今回の展示品を見た時には喉の痞えが取れたようなスッキリした気分になりました。

 因みに、ツノゴマは北米南部やメキシコが原産で、別名 “ 旅人泣かせ ” や “ 悪魔の爪 ” とも言われており、先端の鍵爪部分の鋭さは半端ではありません。果実が乾燥すると、硬化した先端部分が反り返って鉤爪の様な形になりますが、若いうちは食用としてピクルス等に利用されるそうです。