雑記147. 2013.11.15
“ 重厚な殻斗 ”
兵庫県三田市の平谷川緑地は、平谷川に沿った約2kmの区間に造成された人工的な緑地です。川沿いには、アラカシ、シラカシ、マテバシイ、ウバメガシ、クヌギ、アベマキ、コナラ、クリ等が植栽されており、毎年たくさんのドングリを結実します。
先日訪れた時、ウバメガシのドングリの落下が丁度ピークを迎えていましたが、それらの中にかなり重厚な殻斗をもつドングリを結実した個体を見つけました(図8-147-2参照)。
** 詳細については、セクション16-2を参照願います。
ウバメガシの殻斗は、図8-147-3の(a)のように浅くて薄っぺらなものが一般的です。中には、図8-147-3の(b)のように深くて多少肉厚なものもありますが、それでも殻斗の傾斜部分における厚みは1.0mmからせいぜい1.5mmまでで、裾部分については0.5mmもありません。
ところが、今回見つけた図8-147-3の(c)の殻斗は、表面がゴツゴツしていて、まるでナラガシワの殻斗のように頑丈でした。そして、殻斗の厚みは傾斜部分が約2mm、裾部分がなんと1mm以上もありました。
今回、この重厚な殻斗に包まれたドングリを大量に採集しましたが、堅果の形状は限りなく球体に近く、ウバメガシでよく見られる歪な形はほとんど見られませんでした(図8-147-4参照)。
ドングリの殻斗には、堅果に養分を輸送したり虫食害を防ぐ以外に、堅果を整形する役目もあると私は考えていますが、このドングリを見ていると奥行が深くて肉厚なものほどその効果が高いことがよく判ります(*)。
* 殻斗の形状が堅果に及ぼす影響については、セクション3-2-3-3を参照願います。