雑記141. 2013.10.23
“ 不思議な力の正体とは? ”
 今年の秋、山田池公園 [ 所在地 : 大阪府枚方市 (図8-141-1参照)] では園内の半数以上のマテバシイに花が咲きました。さらに、全ての個体について過去の開花の痕跡を調べた結果、少なく見積もって18体が昨年の秋にも花を咲かせていた可能性があることが明らかになりました(*)
 これだけ多くのマテバシイが、毎年のように秋に開花するということは、それを促す何らかの力がここには作用していると考えられます。そこで、今月の12日に再び山田池公園を訪れて、開花した個体の位置や個体毎の開花状況についてより詳しく調査しました。
    * 雑記138を参照願います。

 ここのマテバシイは、大半が園内の南側の敷地に集中しています。具体的には、図8-141-3に示した範囲に相当しますが、このエリアにいは園内の他の場所にはないある建造物が存在するのです。その建造物とは、南側道路沿いに敷設された高圧送電線とその中継点となる鉄塔です。

 今回は、双眼鏡を片手に樹上の隅々まで開花の有無をチェックしました。その結果、雑記138には園内のマテバシイの総数が70体余りで、内開花しているものが39体と記載しましたが、実際の総数は72体で、内開花しているものが48体もありました。
 開花の有無に関わらず、これらの個体を全て図8-141-3の地図上にマッピングしたものが図8-141-4です。マッピングに当たって個体毎の開花状況も見て取れるように、秋に咲いた花序がある新枝の数量によって個体毎に色分けしました。

 この図を見ると、鉄塔を中心に半径100メートル前後の領域に、開花数量の多い個体(図中 : 赤色、柿色、黄色の丸で表示)が集中していることが判ります。但し、鉄塔の周辺部にあっても、開花していない個体(図中 : 黒色の丸で表示)もありました。参考までに、秋に開花したスダジイ(**)の位置は、同図のピンク色の枠で囲った部分 [ 括弧内は(開花数/個体総数)を表しています ] に該当します。鉄塔の位置からは数百メートルほど外れていますが、マテバシイと違って園内全域に数多く植栽されているスダジイは、この領域のものだけが開花していました。
   ** 雑記139を参照願います。
 シイの実公園 [ 所在地 : 兵庫県三田市 ] (***)では、秋に開花したマテバシイの周辺に鉄塔や高圧送電線は無かったので、マテバシイには春だけでなく秋にも開花する形質をもった個体が少なからず存在するのは確かです。ただ、そのような個体が選択的に山田池公園の南側の敷地内に植栽されている(****)とは考えにくいので、やはり鉄塔周辺に局在する極低周波(=60Hz@西日本)の電磁界が季節外れの大量開花に関与しているような気がしてなりません
  *** 雑記092を参照願います。
**** 山田池公園に植栽されているマテバシイのドングリは多様で、個体毎に大きく形態が異なります。たぶん、全国の様々な場所から移送されてきた個体によって園内の植生が構成されているのではないかと私は考えています。