雑記133. 2013. 9.13
“ 未熟ものですが... ”
 昨年の秋に咲いた3種類のドングリの花(*)について、その後の状況を調査しています。既にHPで報告(**)した通り、ナラガシワの花は開花後2ヶ月前後の小さな幼果のまま、全て枯死してしまいました。結実することを期待していたのですが、所詮ナラガシワは一年成なので、越冬して春先にドングリが熟すというのは土台無理な話なのかもしれません。
 一方、ウバメガシとマテバシイについては二年成ということもあり、今年の春に観察した時点で幼果はまだ健在でした(***)。ところが、8月下旬にウバメガシの状況を視察したところ、問題無く成長するであろうと思われた幼果は悉く果軸ごと脱落していました。
   * 雑記092(マテバシイ)、094(マテバシイ)、102(ナラガシワ)、107(ウバメガシ)を参照願います。
  ** 雑記116(ナラガシワ)を参照願います。
*** 雑記117(ウバメガシ)、118(マテバシイ)を参照願います。
 これで、頼みの綱はマテバシイだけになってしまいましたが、9月に入ってシイの実公園 [ 所在地 : 兵庫県三田市 ] の個体を確認したら、昨年の秋に咲いた花は今年の春に観察した時の小さな幼果のままでどれも結実していませんでした。この時点で、季節外れに咲いたドングリの花でも結実するはずだという私の期待は、脆くも崩れ去ってしまいました。
 ところが、最後に駄目元で訪れた山田池公園 [ 所在地 : 大阪府枚方市 ] で、なんと秋咲きのマテバシイの花が見事に結実していたのです☆

 昨年の10月に同園を訪れた時には、合計6体の秋咲きのマテバシイを確認しましたが、その中で最も開花数が多かった1体を含む計2体で、秋咲きの花が結実していました(図8-133-2参照)。

 但し、2012年の春に咲いた果軸には、1本につき7〜10個が結実していましたが、2012年の秋に咲いた果軸にはせいぜい3個しか結実していませんでした。中には全く実を結んでいないものも多数ありました(図8-133-3 赤枠内参照)。

 春咲きと秋咲きのドングリは、見た目は全く区別がつきません。ですが、実際にドングリに触れてみると、両者の成熟度には明らかな違いがありました。春咲きのドングリは既に成熟しており、殻斗から堅果を容易に取り外すことができましたが、秋咲きのものは未だ完熟しておらず、指先にかなり力を込めても殻斗から堅果を取り外せませんでした。

 そこで、図8-133-4にある春咲きと秋咲きのドングリを採集して中の種子を取り出してみると、春咲きのドングリの種子に比べて秋咲きのものはかなり小さく、春咲きのものと同じ大きさまで成長するには、少なくともあと数週間はかかりそうでした(図8-133-5参照)。

 秋咲きのドングリは、ドングリと言うには未だ不完全な状態なので、“ マテバシイについては、秋に開花しても春に開花したものと同じように翌年の秋に実を結ぶ ” と結論づけるのは、現段階では時期尚早です。秋咲きのドングリが完全に熟した姿を確認するまで、今しばらくはこの結論を差し控えたいと思います。