雑記121. 2013. 6. 1
“ 多果を産するところに両性花有り! ”
 今年の4月から、 コナラ属の花序形態について詳しい調査を開始しました。特に両性花(両性形態の花)に着目して、過去に開花したことがあるアラカシ(4体)とシラカシ(4体)の計8体を対象に現在調査しています。今回は、前回報告した掖谷公園 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] の1体を除く、はじかみ池公園 [ 所在地 : 兵庫県三田市 ] と栗ノ木谷公園 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] の3体のアラカシについて状況を報告します。

 まずは、はじかみ池公園の樹高:4mの個体です。地上から手が届く範囲の新枝に立つ雌花軸を丁寧に検分した結果、3割ぐらいに両性花が見られました(図8-121-1参照)。また、それらの雌花軸のおよそ半数には、掖谷公園の個体と同様に先端付近に雄花が見られました(図8-121-2参照)。

 次に、同じはじかみ池公園の樹高:2.5m の個体(*)す。上記と同様に検分した結果、ほとんどの雌花軸の先端付近に両性花が見られました(図8-121-3参照)。
* この個体に関する記事は、雑記080を参照願います。


 最後は、栗ノ木谷公園の個体です。この個体はアラカシでは非常に珍しく、過去に大量の多果を発現した実績があります(**)
昨年は、この個体における開花そのものが少なかったせいで、多果の雌花はごく僅かしか確認できませんでした。また、その時には両性花は確認出来ませんでした。ところが、今年はかなりの数の多果の雌花が咲いていました。そして、ほとんどの雌花軸にたくさんの両性花が見られました(図8-121-4参照)。
** 雑記052、075を参照願います。

 さらに、前2者と同様に雌花軸には雄花も併存していましたが、雄花は軸の先端付近に限定されず、軸全体にランダムに開花していました。中には、雌花軸なのに雄花しか咲いていないものも多数見られました(図8-121-5参照)。

 昨年、たくさんの両性花を咲かせた深田公園 [ 所在地 : 兵庫県三田市 ] のシラカシ(***)も、栗ノ木谷公園のアラカシと同様に、毎年のように多果の雌花を大量に咲かせます。今回の調査結果から、たくさんの両性花が咲く個体は、必ずしも多果の雌花を咲かせるわけではありませんでしたが、その逆(たくさんの多果の雌花を咲かせる個体では、必ず両性花が咲く)は成立するように思われました。但し、たくさんという言葉は非常に曖昧で、今のところ具体的な数値では表現できません。

 両者の間に生物学的にどのような関係があるのか、これからも調査を続けていきたいと思います。
*** 雑記078を参照願います。