雑記116. 2013. 2.23
“ 秋に咲いたドングリの花 〜 ナラガシワのその後 〜 ”
 昨年、ナラガシワ(*)、ウバメガシ、マテバシイの3種で秋に開花という現象を目撃しました。通常は春に開花するこれらの樹種が、半年遅れの秋に開花しても実を結ぶことが出来るのかどうか、私としては大変興味があります。

 とりわけ、一年成(春に開花して、その年の秋に結実するもの)のナラガシワについては、現時点で開花からおよそ5ヶ月が経過しており、順調に育っていれば今頃は寒空の下で大きく成長したドングリが見られるはずです。ということで、先日このナラガシワが植栽されている大阪府立大学 [ 所在地 : 大阪府堺市 ] の中百舌鳥キャンパスに行ってきました。

 * 秋に咲いたナラガシワの概要については、雑記102を参照願います。

 結論から言うと、残念ながら樹上にドングリの姿はありませんでした。冬芽の周辺には秋に開花した果軸が残っていましたが、軽く手を触れると根元から簡単に脱落してしまいました(図8-116-1参照)。
 脱落した果軸を実体顕微鏡で拡大してみると、五ヶ月前に見た幼果と大きさや形態は全く変わりませんでした。たぶん、開花して程無く枯死したものと思われます(図8-116-2参照)。一年成のナラガシワにとって、秋の開花は無謀だったのかもしれません。

 全くの気紛れで開花したのか、あるいは季節外れの開花がこの個体に特有の現象なのか見極めるために、これからしばらくの間この個体を調査してみます。