雑記115. 2012.12.16
“ 球形、ここに極まる ”
一般に、ドングリの堅果の首回りは花柱を頂点とした円錐形になっています。個体によっては、首回りの果皮が平坦なものや、果皮に花柱が埋没したようなものもありますが、私のこれまでの経験から言うと、アラカシの堅果で円錐形以外の形態を目にした事はほとんどありませんでした。
ところが、先日はじかみ池公園 [ 所在地 : 兵庫県三田市 ] の雑木林に散策に出掛けたら、アラカシでも花柱が陥没したドングリがあるのが判りました(図8-115-1参照)。
このドングリを側面から見ると、胴回りの膨らみ具合がすばらしく、おまけに花柱が陥没してその周囲の果皮が平坦になっているので、図8-115-2の下段にある同じ様な球形の堅果と比べると、より一層丸味を帯びているように感じられます。丸いもの好きの私には、堪えられない逸品です☆
実体顕微鏡で見ると、花柱が陥没した様子が判りにくいので、あらためてこの部分を電子顕微鏡で観察してみました(図8-115-3参照)。濃淡がはっきりしたこの撮影像を見ると、陥没している様子が一目瞭然でした(*)。
今回は、ドングリの微妙な形態差について紹介しました。“ 花柱が突出してようがいまいが、そんな事どうでもエエんとちゃうの? ” と思われるかもしれませんが、この微妙な差がマニアの心を擽って止まないのです。このHPを愛読して下さっている方々には、きっと私の心境をご理解頂けるものと信じております。
* 図8-115-3で花柱の周囲の果皮が平坦に見えないのは、撮影技術の問題です。