雑記114. 2012.12. 8
“ 大きく成長した4果のドングリ ”
 昨年の夏、深田公園 [ 所在地 : 兵庫県三田市 ] と掖谷公園 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] にあるシラカシから 4〜6果の幼果を見つけました(*)

 今年も、前記の個体を中心に高次(4果以上)の多果について調査したのですが、残念ながら4果が2個しか見つかりませんでした。ただ、今年採集したものは2個とも昨年採集したものに比べて格段に大きく成長していました(図8-114-1、2参照)。
 * 高次の多果の詳細については、セクション15を参照願います。

 今回採集した2個の幼果の1個が、図8-114-1(b)です。 これは、セクション15の表15-2にある深田公園のシラカシAから採集したものです。
 比較のために、昨年採集した4果の幼果の中から類似形態を図8-114-1の(a)に示します。堅果が並んでいる方向の殻斗の長さは、(a)が8mmに対して(b)は12mmもありました。同じ個体の他の多果の幼果の生育状態から推察すると、開花(6月上旬)してから3ヶ月ぐらいは樹上で成長していたと思われます。

 もう1個の幼果は、図8-114-1(d)です。これは、セクション15の表15-2にある深田公園のシラカシCから採集したものです。
 比較のために、昨年採集した4果の幼果の中から類似形態を図8-114-1の(a)に示します。堅果の並んでいる方向の殻斗の長さは、(c)が9mmに対して(d)は18mmもありました。この幼果も(b)と同様に、開花(6月上旬)してから3ヶ月ぐらいは樹上で成長していたと思われます。

 (d)については、中央にある2つの堅果の境目が判別出来ないぐらい合着していたので、パッと見は3果にしか見えませんが、実体顕微鏡で中央の花柱を拡大してみると、2つが並んでいる様子(一方の幼堅果の花柱が他方の幼堅果の上に覆いかぶさっている)がはっきりと判ります(図8-114-3参照)。

 昨年の夏に、初めて高次の多果を目撃した時、これらの幼果が成熟することはまず無いであろうと思っていました。ところが、今年見つけた2個の幼果は成熟体と同じぐらいの大きさになるまで残り僅か1ヶ月強まで成長していたので、もしかすると高次の多果でも成熟する可能性があるかもしれません(**)

 来年以降も、多果多産系のシラカシを中心に、高次の多果の生態について調査を続けていきます。
** 今回採集したシラカシのドングリの成熟時期はいずれも11月です。