雑記107. 2012.11. 2
“ ウバメガシよ、オマエもか! ”
今年の秋、マテバシイやナラガシワの特定の個体で珍しい開花を目撃しました(*)。そして先日、こんどは服部緑地 [ 所在地 : 大阪府豊中市 ] のウバメガシでも季節外れの花を咲かせた個体を見つけました(図8-107-2参照)。
* 秋に開花したマテバシイの概要については、雑記92、94を参照願います。また、秋に開花したナラガシワの概要については、雑記102を参照願います。
春の花期のように、樹木全体に花が咲いているといった状況ではありませんでしたが、樹下から確認出来る範囲で20箇所以上の枝に開花が認められました。但し、これらの花は春に見られるものとは随分と姿形が違っていました。
大きく異なる点は2つあって、1つは雄花軸(**)がやたらと太いことです。一般に、ウバメガシの雄花序は細長い玉暖簾のようなものが垂下した尾状花序ですが、秋に開花したものは、重力に逆らって斜め上方に伸長した穂状花序でした(図8-107-2、図8-107-3参照)。
もう1つは、雌花軸(**)が異常に長く、そこにたくさんの雌花が咲くことです。通常、ウバメガシの雌花軸は葉腋から立ち上がる10mmにも満たない果軸に1〜3個の雌花が咲きます。ところが、秋に開花したものは雄花軸と同様に新枝から直接立ち上がったものが多く、20〜30mmもある長い軸に多いものは10〜15個の雌花が咲いていました(図8-107-2、図8-107-3参照)。おまけに、その中の半数は両性花であり、所々に雄花も混在していました(図8-107-6参照)。
** 花軸の大半を雌花が占有しているものを雌花軸、雄花が占有しているものを雄花軸としておきます。
このウバメガシについては、秋に開花したマテバシイやナラガシワと同様に、開花後の様子を継続調査していきたいと思います。