雑記106. 2012.10.28
“ 元は両性花です ”
 ブナ科の植物は雌花序と雄花序に分れた雌雄異花が基本です。ところが、今年の春に咲いたシラカシの花の中に、雌蕊の周りを複数個の雄蕊が取り囲んだ両性花(*)を見つけました(図8-106-1参照)
* シラカシの両性花については、雑記78を参照願います。

 文献によると、雌雄異花の植物でも雄蕊と雌蕊の両方をもつものが稀に存在するそうです。但し、両性とは言っても雌雄のいずれか一方は機能しないとの事なので、私が見つけたシラカシの両性花が果たしてドングリとして実を結ぶのかどうか大変興味がありました。

 今日、この個体に結実したドングリを採集してきて実体顕微鏡で観察したところ、複数のドングリに両性花の痕跡が認められました(図8-106-2参照)。
 首の根元部分を拡大してみると、雄蕊の葯の残滓が花被/花床に由来する組織の内側に埋もれているのが判りました(図8-106-3参照)。この両性花は、雄蕊としての機能が無くても、雌蕊としては立派に機能していたのです。
 両性花が結実したドングリは、微かに雄蕊の名残(葯の残滓)がある点を除くと、普通の雌花が結実したのと外観上は何も変わらないことが判りました☆