雑記010. 2009.11.26
“ ツクバネガシの巨大ドングリ ”
 毎年11月になると、決まってドングリ採集に訪れる場所があります。それは、自宅から徒歩で20分程度のところにある貴志御霊神社です。入母屋造の本殿は、文明2年(1470年)に再建された立派な建造物で、国の重要文化財にも指定されています。
 一見、どこにでもあるような神社ですが、ここには京都御苑に匹敵するぐらい多数のツクバネガシがあります。長い参道沿いにはツクバネガシが林立しており、豊作年には大量のドングリが地面を覆い尽くします(図8-10-2参照)。そして、何と言ってもここの最大の魅力は、御苑では見られないほど多様な形態のドングリが採集出来るところなんです。

 今年は珍しいことに、過去5年間で全くと言ってもいいぐらい結実の無かったツクバネガシの樹下にも、立派なドングリが大量に落下していました(図8-10-3参照)。とりわけ、この樹から特大級のドングリが2個採集出来ました(図8-10-4参照)。一方は、1つの堅果に2種子(*)が入っていると思われます [ 図8-10-4中(b) ] 。そしてもう一方は、殻斗に2果の痕跡がありますので、たぶん2つの堅果が合着して1つの堅果の様に見えると思われます [ 図8-10-4中(a) ] 。
 ただ、不思議なのは、2果と思しきドングリに堅果1つ分の花柱しか存在しないことです。これまで私が見てきた2果のドングリの中で、2つの堅果が完全に合着したものについては、堅果2つ分の花柱が存在しました(例:セクション3-1-2の図3-1-13参照)。これは一体どういうことなのでしょうか?
* セクション6-3 “ 大泉緑地の奇妙なドングリ その3 ” を参照願います。