雑記001. 2009.11. 1
“ アベマキの多果ドングリの痕跡を発見! ”
 このホームページをご覧になられた方は、私が多果ドングリ(*) [1つの殻斗に複数個の堅果が入ったドングリ ] に対して強い関心を示していることにお気づきかと思います。ドングリに興味を持ち始めた頃には、全く意識していなかったのですが、採集年数を重ねる毎に、様々な種類で多果を見つけ出すことに喜びを感じるようになってきました。

 セクション3-1でもふれましたが、シラカシ、ツクバネガシ(アカガシ)、シイについては、これまで比較的容易に多果を見つけてきましたが、それ以外の種類になると数年かかっても1個見つかるかどうかといった状況です。中でも、コナラ亜属のクヌギ、アベマキ、コナラと言った種類は京阪神でも随所にたくさん植栽されており、シーズンともなればほぼ毎日のようにこれらのドングリと対面する機会があるにも関わらず、全くと言っていいぐらい多果目にすることがありませんでした。そんなわけで、これらの種類については縁が無いものとすっかり諦めていたのですが、最近この状況に少しばかり好転の兆しが見えてきました。

 これまでHPには掲載していませんでしたが、実は昨年から2年連続で、摂津伊丹廃寺跡 [ 所在地 : 兵庫県伊丹市 ] のアベマキから多果の痕跡がある殻斗が見つかっていたのです(図8-1-1参照)。これらは、いずれも同じ個体から採集したものです。この図では判りづらいかもしれませんが、殻斗の内側に離層の痕跡が2つあって、それらが交わった部分を基軸にして、殻斗が外側に向かって湾曲しています。

 間違いなくこれらの殻斗には2つの堅果が包まれていたのですが、残念ながらこの個体の樹下を隈なく探しても、2果の堅果はどこにも見当たりませんでした。このアベマキは、比較的人通りの少ない場所にあるのですが、偶々通りがかった人が2果のドングリを見て、珍しいから拾っていったのかもしれません。あるいは、2つの堅果が合着せず独立
(*)していたせいで、他の堅果(単果)と見分けがつかなくなっているだけかもしれません。
 いずれにせよ、多果ドングリのゲットまで後一歩のところまで来ていながら、何とも悔しい限りです。
* 多果ドングリについては、セクション3-1-1を参照願います。